鉄扇

に載っていた三島由紀夫石原慎太郎の対談がすごかった。
引用させてもらうと、

三島は「石原さん、今日は守るべきものの価値について話がしたい」と切り出す。

三島 君、今の日本はナショナリズムがどんどん侵食されて、みんな左翼に取られちゃうよ。

石原 そんなもの取られたっていいんです。僕は世界の中で守るべきものは自分しかないな。

三島 自己放棄に達しない思想は卑しい思想だ。

石原 (でも)「盾の会」では、まだクーデターはできない(でしょ)。

三島 まだ自民党代議士の石原慎太郎もたいしたことない(笑)。

石原 今の反論はちょっと弱弱しかったな(笑)。天皇というものは伝統の本質じゃないもの。形(表象)でしょ。

三島 (憤然と怒り)君、どうして(本質じゃ)ないなんて言うの(!) 歴史、研究したか? 神話を研究したか?

石原 三島さん、ヘンな質問しますけど、日本では(天皇制を捨てて)共和制になることはありえないですか?

三島 ありえないって。そうさせてはいけない。あなたが共和制を主張したら、おれはあなたを殺す(!)

石原 いや、そんなこと言わずに(笑)。

三島 今日は幸い、刀も持っている(!)(居合い抜きの稽古の帰りで、三島氏は真剣を持参していた)。

石原 ぼくは(可能性の話をしただけで)共和制にしろなんて考えたことはないですよ。

三島 命が惜しいからそう言うだろうけど。

石原 ぼくだって飛び道具を持ってるからな(!)

三島 今、そこに持ってないだろ(!)

石原 でも、ぼくは天皇を最後に守るべきものと思ってないんでね。

三島 思ってなきゃしょうがない。今に目が覚めるだろう。

石原 いやいや。やはり真剣対飛び道具になるんじゃないかしら(笑)。

石原 しかしぼくは少なくとも和室の中だったら、僕は鉄扇で三島さんの居合いを防ぐ自信を持ったな。

三島 やりましょう。和室で(!)

三島 でも、君とおれと(殺しあって)二人死んだら、さぞ世間はせいせいするだろう(笑)。喜ぶ人がいっぱいいる。早く死んじゃったほうがいい。

石原 (それを)考えただけでも死ねないな。

1970年9月発行の三島由紀夫対談集『尚武のこころ』(定価400円)に載っているそうだ。

無知な私は三十五年前の日本人の多くがまだ和室で真剣勝負とかをするのがありだったのかと思えてくる。 飛び道具とか、鉄扇とかポピュラーな持ち物だったのかとも。
なんか変な日本びいきの外国人の想像する日本が彼らの対談の中にはある。 すごいな。 

飛び道具…。 歌舞伎みたいだな。