Yuri Norstein

adanae2005-07-25


今日は、昼過ぎにを見てきた。 私はボキャブラリーが少ないからなんでもかんでもすごかったって言っちゃうんだけど、これは本当にすごかった。   すばらしかった。 イラストレーションの勉強をしている友人と二人でしびれきってきた。 思わず終わったときに拍手をしてしまったぐらいだ。 
ユーリー・ノルシュテインの作品は日本の大学にいたときにも数本見ていた。 ロシア砂糖のCMでは、子熊が角砂糖を食べて母熊に頭を小突かれて口から角砂糖をだらだらだらだらっと出すけどなんだかとっても汚くないことになっている状況にしびれた。 しかし日本で見たものの多くがCMだったのと違い、今回私が見たのは民話などをベースにした物語であり、かなり雰囲気が違った。 
今回私が見たのは、「 ケルジェネツの戦い」1968年/12分/、「狐と兎」 1973年/12分/、「 あおさぎと鶴 」1974年/12分/、「霧につつまれたハリネズミ 」1975年/12分/、「話 の 話 」1979年/29分の五本。 どれもこれも、ああ…。   

「霧に包まれたハリネズミ」が終わった瞬間に会場からおこった拍手は素直な反応だった。
 一匹のハリネズミが小熊の招待してくれたお茶会行くため、木いちごのジャムを片手に森に入っていく。 そして深い霧に包まれた地域に入り込むと同時にハリネズミは幽玄な世界に入り込んだことになる。 その深い霧の中で様々なものに出会っていく。 
 ハリネズミを取り囲む360度の景色すべてが豊な質感を持ち、心の触感に刺激を与えてくる。 すごかった。 こりゃ、宝物だと思いました。 宝物の殿堂入りは確実ですね。 あ、宝物は殿堂なんかじゃなくて、宝箱に入るのか。 後半にハリネズミがつぶやく「スパシーボ」は心に響くロシア語の殿堂入りです。 間違えなく。
すばらしいと思えるものを見た後は、その過去からの遺産を継続していきたいという願望があふれる。  

わが師たち:アルタミラとラスコー洞窟の壁画、アンドレイ・リュブリョフの「救世主」、ミケランジェロ最後の彫刻「ロンダニーニのピエタ」、ヴェラスケスの「女官たち」、晩年のゴヤレンブラントの「放蕩息子の帰還」、ヴァン・ゴッホ、レーピンの絵「ムソルグスキー」像、パーヴェル・フェドートフ、シャルデン、ミレー、ロシアおよびヨーロッパのアヴァンギャルドジャン・ヴィゴーの映画「アタランタ」、エイゼンシュテインの6巻選集。

けれども最も卓越した教師は、私の孫たちと、子どもたち皆だ。シャツに覆われた、華奢で狭い肩の上の、無邪気さと微笑みに満ちた彼らの顔を見ていると、我々の精神に愛を花開かせられるなら、あらゆる世界芸術には意味があることがわかるのだ。

「ユーリ−・ノルシュテインの仕事」ふゅーじょんぷろだくと刊(2003) より抜粋

  故に、これが欲しい。
本と同名のサイト に、彼のインタビュー屋らなんやらがあるから、どうぞチェックイットアウトヨー。