チョコレート工場

 チャーリーとチョコレート工場を見てきた。 爆発的な笑いはおこらないけれども、ふつふつとした笑いがこみ上げてくる映画だった。 友人の多くはこの映画のあまりにも政治的に正しくない態度、子供たちに与えられる制裁の不当性さなどに腹を立て、この映画はよろしくないと結論を下していた。 私はその政治的に正しくない態度を見ていて生まれる反感やらなどが重要な要素であって駄目なものは駄目だと言うのは違うと感じた。 私は、登場人物のトラウマのくだらなさや、工場という施設を通じてばかばかしいほどに感じる「世界って駄目駄目」感、チャーリーの家族のふがいなさなど、全てを悪趣味なほどに「その問題には深く関与しません」って姿勢で描ききっているこの悪趣味な映画はその悪趣味さ故に凄いと思う。 マリリン・マンソンの為に書かれた脚本らしいので(結局ジョニー・デップが演じているけど)、どう悪趣味かは想像がつくと思う。 子供の映画として考えた時にどうなんだろうってのがこの映画に関しての一つの問題だと思うけど、児童映画へどれだけの監視が必要かは、「これだ!」って答えは出ない問題だと思うので何とも言えない。 子供の目線でみたこの映画は思春期を終えてしまった人間が見たこの映画とは大きく異なるだろうと思うし、子供の頃に映画をあまり見た事がない私にはあんまり想像がつかない。 ただ、大人になって「うわ、この映画ってむちゃくちゃPCひっかかってるじゃん」と思えればそれで良いんじゃないかと思った。 政治的に正しくない事柄が、もう何十年も正しくないと言われてきている事で、それをあえてやっている安っぽさから生まれるおぞましさは、なんだか甘美で、ああ、チョコレート工場って感じになりました。 アフガン織とか変なパッチがついているジャケットとか薄汚れたぬいぐるみとかがけつの穴から出てくる系のおぞましさね。 マイク・ケリーとティム・バートンには、さわやかにおぞましくがんばってもらいたいものだと帰り道で一人思った。