さいならっきょ

 明日課題を提出したら、私は全ての授業で後一つづつ課題が残っているだけであり、それらを終わらせたら、夏休みであり、一年生が終わるという話なのです。 やっほい!!!

 やっほいと言ってみたは良いけど、実際はまだ明日出す課題すら終わってなくて、なんだかな。 今日もさっきまで学校で作業をしていたんだけど、いろいろとイライラし帰ってくる事にした。 多分一回寝た方が結果として幸せになれるだろうと思ったのであります。 

 課題提出ラッシュが続いていて、大学のコンピューター室は深夜十二時をすぎてもわんさか人がいた。 心なしか華僑の子たちが多い。 やっぱりハードワーカーなのね、うふふ、私もよ、と奇妙な連帯感を持つ。 いつもはハードボイルドに隣の席の人の事も激しく無視して作業を行う学生たちも、夜はちゃらちゃらへらへらと社交的な挨拶をしたりする。 私の思うところに、こっちの子たちは日本の子たちよりずっと夜を怖がる。 十二時も過ぎて多くの人の課題提出が今日になったところでコンピューター室の隣にある印刷室のレーザープリンターが壊れる。 第一発見者は私で一応殴ってみたりなだめてみたり、甘えてみたり厳しい態度をとってみたりしたが相変わらず動かない。 「ああああーもうおしまいだ!!!」と一人で焦って、部屋の中をぐるぐる歩いたり、壁に頭をぶつけてみたりしていたら数人が印刷されたものをとりに部屋に入ってきた。 普段なら滅多に話さないタイプの人達だ。 なんか、三年後に路上で死んでいそうな雰囲気の方々で、今晩もすでにきまりまくってる感じであった。「壊れているから、印刷物なんて一枚たりとも出てこないよ」とむなしくつぶやくと、かなり励まされた。 「治そうよ、みんなで!」のノリになりいろいろとランダムな事をする。 そうしたら本当になおった。 さすが人生行き当たりばったりな人はいろいろとランダムな事を思いつくものだわと失礼ながらも感動する。 保守的な私はコンセントを抜いたり電源を入れ直したりぐらいしか思い浮かばない。 人種も、生活様式も超えた熱い共同作業が印刷室で一瞬おこったことは人類の歴史にも、ましてや私が一緒に協力した人達の記憶にも残らないだろう。 きまっちゃってる彼らの代わりに私はプリンターの直し方を一応覚えておこうと思うよ。 

 大学からの帰り道は暗くて怖い。 そして大学当局も積極的に警告にかかっていて、大学の門までは(門を超えると大きな道に出て夜も人通りがある)最低でも警備員にエスコートしてもらえと日々様々なメディア(壁紙から構内放送まで)によって伝えられている。 しまいには警備員が「この大学にはお化けが出るから、危ないから!」と訳の分からない学校の怪談まで言い出すぐらいだ。 多分、結構本当に危ないんだろうし、耳が腐るほどに警告しておかないと何かあったときに大学がshitをくらうんだろう。 しかし、それを守っている人はあまりいない。 なぜならば、建物から門まで歩いて一分もかからないから。 その一分の為に必死にどこにいるか分からない巡回中の警備員を探す方がなんだか危なそうな気がしてしまう。 そこで学生がとる手は全力でダッシュである。 下り坂だから絶好調にダッシュができる。 建物は坂の上にたっていて、みんな転がり落ちる勢いで、老若男女ひたすら走り下りる。 坂を登っている時に、男の子が全力で走ってくると相手も怖いから走っているのだと分かっていながらも結構びびる。 そういえば登ってくる人は走っていない。 かなりのんきにとことこ登ってきている。 どうも、何者かに襲われるのは帰り道と思い込んでいて、同じ時間に同じ道を違う方向に進んでいても問題はないという解釈がおこなわれているようだ。 私たちは一体誰に襲われるって設定なんだ! いきはよいよい、かえりはこわいの世界だわ。 いつも勢いがつきすぎて車道に飛び出して車にひかれそうになる。 

課題

 新しい課題では、詩をモチーフにした舞台装置を作らなきゃいけない。 自分のグループの人達とポエトリーリーディングをする。 「うん、この詩はセックスと死について書いているんだね」と一人がいうと、みんなそうだそうだとなる。 そうなのか?! 詩を読んだ後に大抵、分かった顔をしてみんなが言う事って「この詩はセックスと死について書いているね」だと思うんだけど、それは本当にそうなの? 純粋にただそれ以上でも以下でもなく世界経済について語っている詩があったとしても、それはセックスと死に繋がっていくのだろうか。 なんかそういわれちゃうとそうだと思えてきてしまう。 セックスと死ってとんだブラックボックスだ。 高校の時の参考書を引っ張りだして、ひたすら数学の問題を解きたくなってきたよ。 詩や文学に素養のない私は、こんな初歩の初歩の問題にぶちあたっている。 分からないから、文字の配置や、文章の構造、全体のリズムなどそういうもう少し具体的にがっちり関わり合えて、この詩の個性になっている面と強く私は関わろうと思います。 うーん、セックスと死。 セックスピストルズ…。 オノヨーコ…。 スピッツ…。 建畠晢…、、、、友愛?


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私の友人たちへ


激動の年がまた過ぎようとするなか、みんなが想いをひとつにし、鮮明なビジョンをもって年の終わりを迎えることを提案したいと思います。

全ての人々が平和な生活を送っている姿を想像しましょう。十秒。一時間。一日中。場所はどこでもいいのです。そして、その日のどの時間でもいいのです。

平和な世界へのビジョンを、最も鮮明な形で抱きましょう。そしてそれを、楽しみと喜びの精神でやってみましょう。怒りや恐怖からやるのではなく。

私たちにはネガティブな考えを抱く余裕はありません。歌って、踊って、互いに抱き合って、新年と、そして、ともにやって来る新しい世界を迎えましょう。

私たちのこの星が、美しい星座の一部をなしていることに対する喜びを宇宙に報告しましょう。

なぜなら愛の反対は憎悪でなく恐怖であり、知恵の反対は愚かさでなく混乱であり、二点間の最も短い距離は、私たちの希望と揺るぎない信念なのです。

ですからあなた自身の心臓の鼓動を聴いて、思い出してください。

「War Is Over If You Want It あなたが望めば、戦争は終わるのです」


2003年12月

愛をこめて、オノ・ヨーコ

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