毛刈りの窓 闇雲な情熱

 夏です。 キャップをかぶらないで道をうろつくと、頭に日が入り大変な事になります。 でもって、キャップの中も、熱いです。 危険だ! とりあえず、危ない。 髪の毛が黒い人は要注意だ。

 ってことで、毛を刈ってきました。 夏仕様です。 美容院で、とりあえず横を男前に刈り上げてほしいんだよねと頼んだら、「ああ、ランドスケープにしたいのね」と言われた。 しらなんざ。 ランドスケープって呼ぶらしいですよ、内田也哉子刈りは。 この間カフェに投げ捨てられていたThe Faceの2000年の号にて、クロエ・セヴィニー がその髪型をしているのを見て、うーん、五年前に良かった髪型を今更するのはなぁとちょっとたじろいだんだけど、でもなんかまあいいややってみようと思いました。 一回やってみたかったんだよね、毛刈り! でも、あんまりにも目立つようにやるとかっこわるいよと美容師に忠告されて、(君はそんなにクレイジーじゃないでしょと言われた。 なんだか嬉しい)ひっそりと私の髪の毛は刈られていったのです。 髪の毛が普通に長い部分が多いので、実は一部毛が刈られている事は一見分からない。 しかし実際は刈られていて、キャップをかぶると実に涼しく、それならば日射病にもならない。 最高だ! VIVA 毛刈りの窓! でもアイライナーがどんどん濃くなるように、一回横を刈ってしまうと「もっともっと」と闇雲な情熱が沸き上がるんじゃないかと重い怖いんです。 だって、実際「ちょっと足りないよな」と思っているんだもの。 あー、面白かった。 髪の毛切るのって、相当なエンターテイメントだよね。 


 今日のこぼれ話
 美容師の兄ちゃんが凄いメトロセクシャルな上に多分無意識で自信満々なナルシスト人で、私の髪を切っている間もずっと巨大な鏡の前で「物」と格闘する自分を演出していた。 切りながらもずっと鏡越しの自分を見ていた。 勿論その「物」は私の髪であり、私自体はほぼそこには存在していない。 鏡には物と格闘する美しい男性の美しい映像が彼のためだけに流れていたよ。 とても耽美でした。 面白かった。 

 そしてちゃらちゃらとした社交話で私が工業製品をデザインしているんだと言ったら、工業デザインで一番多きなプロジェクトって何なのと突飛な事を聞いてきた。 「あー、車とかバイクとか?」と言い返したら間髪入れず「so not PC」と言われた。 このPCはパーソナルコンピューターじゃなくて、ポリティカリーコレクトの方です。 多分今日一日中「僕は石油を使わないと言うことで世界平和に貢献するのだ」とか考えていたんだろう。 ものすごいスピードで政治的に正しくないと言われてしまった。 確かに車をデザインするってのは、この国では相当PC引っかかる。 ここでは"意識的"な人達は車を使わない。 石油産業に関わるのは悪となる。 「公共のトランスポートを使う自分=現代人」となっている"意識的"な人の前では「工業デザインの最大のプロジェクトは、地球に優しい公共のトランスポートをデザインする事です。 勿論、どのような生産のプロセスをたどるかもデザインします。 ちなみに、私の支持している政党は緑の党です。 でも政権を取ってほしいのは労働党です。」と言わなくてはいけないのだろう。 まず選挙権がない時点で私はここでの"意識的な人"コミュニティーに参加できないね。 ちょっと寂しいや。 美容院のお兄ちゃん面白すぎた。