Rolling stones

 人には秘密の一つや二つ、いや、それ以上に、ほとんど無限にごろごろあります。 秘密とまで大げさに言わなくても、言い忘れている事や、当たり前すぎて言っていない事とかさ。 多分、言った事の方が実際のところ少ないんじゃないかと思うんだよね。
 
 私の特に言わないけど、でも実際のところかなり大きなディールの事の一つが、私はRolling stonesが、非常に、異常に、熱烈に、好きだと言う事です。 それはそれは静かに、まるで青い炎のように、私の心の中では無音の情熱がいつでもこだましているんですよ。 そう、無音だから特に誰にも言わないんだよな。

 実際のところ、彼らの華やかすぎる経歴や、やりすぎの薬物や、めんどくさい入れ替わり立ち替わりとか、結構だるいのでどうでも良いんだけど、それらロックな私生活と寄り添うように作り上げられていった彼らの音楽や、ステージでのパフォーマンスが私は好きで好きでしょうがないんです。 特にミックジャガーの動きが私にとってはウルトラ魅力的なんだ。 なに、あの踊り?! なに、あの膝?! そして何よりも、あのブルースからの貢献。 ハーレムルネッサンスがどれだけ重要で、どれだけものすごい事だったのかが分かる。 Beatlesとかよりも、Rolling stonesの方が私からすると、その後の音楽の流れにもそれ以前のにも、良い意味で繋がっている。 私の中では凄く自然で、だから好きだという意味も強い。


で、行ってきました。 ライブに。
 

すごかっった!! 満天の星空の下Rolling stones! そしてお客さんの半分以上は60歳前後っていうナイスな状況。 私の前の席の60代半ばに見える男女二人ずつのグループは、身なりも良く、家に帰ればいい感じの親とかなんだろうと思わせるんだけど、最初から最後までひたすらジョイントを吸いまくっていたよ。 在りし青春の日々の姿なのか? 私はとりあえず、こんなにらりった60歳代の方々に囲まれた事がこれまでになく、なんだか新しい扉を開いたような気分になりました。 若気の至りを過ぎた人々すらをも、ドライブしてしまうRolling stonesに乾杯! 


それにしても、男であるとか、人間であるとか、年をとるとか、一つの言語しかしゃべれないとか、考えれば考えるほどに、誰にでも制約があるんだなと実感しました。 で、その制約の中でどれだけの事ができるのかと考えると、Rolling stonesはやっぱり凄い。 なんか私は本人を目の前にするまで、その人達にも大きな制約はついて回っているのだという事をけろっと忘れるんだよね。 それにしても、ジャガーさん達、爺になっても、若かりし頃と同じスタイルを貫いているという事は、若い頃の行動が若気の至りでなかったと言う事なのかとも考えさせられました。 ああ、あの動き。 何なの。 凄いよ。

私は、どんなライブにいてもコンサートにいても、芝居を見ていても、一瞬ちらっと、「後どれぐらいで終わるんだろう、結構帰りたいかも」って思うんだけど、今回ははなっから「一生終わらないで! このまま! 朝まで、明日の夜も! 明後日の夜も!」ってなりました。 これは私的にはものすごい事です。 繰り返し、ずっとこれが続けば良いと願う事なんてほとんどないのに、今回は本当に終わってほしくなかったし、ずっとこれからも続いてほしいと願ってしまった。 って、事はだね、多分今まで見てきたどんな展覧会よりも芝居よりもコンサートよりも、私にとって極上だったって事なんだよね。 こんな経験産まれてはじめてだ!